2008 Fiscal Year Annual Research Report
特異磁場をもつシュレーディンガー作用素とアハラノフ・ボーム効果
Project/Area Number |
18540218
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
伊藤 宏 Ehime University, 理工学研究科, 教授 (90243005)
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Keywords | ディラック作用素 / シュレーディンガー作用素 / アハロノフ・ボーム効果 |
Research Abstract |
研究代表者と連携研究者による代表的な研究成果を載せる。 1.(伊藤,山田修宣(連携研究者)):前年度に引き続き,ある種の解析性をもち遠方で発散するポテンシャルをもつディラック作用素とシュレーディンガー作用素のスペクトル構造の違いを2つの相対論的シュレーディンガー作用素を介在させて解析した。最初に,2つの相対論的シュレーディンガー作用素のスペクトルを決定した。次に,この結果に摂動論を組み合わせることで,なぜ光速が大きいときにはシュレーディンガー作用素の固有値近くにディラック作用素のレゾナンスが存在し,光速を無限大にする極限(非相対論的極限)ではそのレゾナンスがその固有値に収束するのか?ディラック作用素の絶対連続スペクトルが非相対論的極限において消滅するのはなぜか?について明快な説明を与えた。また,非相対論的極限において,ディラック作用素のスペクトル測度とシュレーディンガー作用素のスペクトル測度の関係を見出した。この研究の過程で,ある種の解析的な作用素族の境界値で定義される自己共役作用素のスペクトルが2種類に分類できることを示した。前年度より仮定を弱くすることができ,さらに新しい結果も得られた。磁場を入れて同様の問題を考察することは今後解決すべき興味深い問題である。 2.(田村英男(連携研究者)):2つのアハラノフ・ボーム磁場をもつシュレーディンガー作用素の散乱問題において,spectral shift functionとtime delayに関する準古典的挙動を決定した。これらの量は2つの磁場の中心の間に捕捉される電子の古典的な描像とうまく合致しており,レゾナンスとの関係を物語っている。このため,今後のレゾナンスの研究に対して重要な結果である。
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Research Products
(4 results)