2006 Fiscal Year Annual Research Report
原始惑星系円盤におけるダストの成長と構造進化の理論研究
Project/Area Number |
18540227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 秀和 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (00282814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 浩二 北海道大学, 低温科学研究所, 博士研究員 (10396856)
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Keywords | 惑星多形成 / 原始惑星系円盤 / ダスト / BCCA / 衝突破壊 / 微惑星 |
Research Abstract |
惑星形成理論において、微惑星形成は不確定性の大きい部分である。微惑星形成については、重力不安定説とダスト直接成長説の2つがあるが、どちらにも問題があり決着はついていない。直接成長説では、原始惑星系円盤においてダストが数10m/secで互いに衝突する際に合体できるか否かが問題となっている。そこで本研究で、我々はダストアグリゲイト衝突の素過程を数値計算により詳細に調べ、原始惑星系円盤におけるダスト成長の次世代モデルの構築を進めている。これにより成長と共に進むダストの構造進化を解明することで、合体成長の可能性を明らかにしていく計画である。初年度である本年度は、ダストの衝突圧縮過程を数値計算で再現し調べた。 成長初期においては、ダスト衝突速度は非常に遅いため、衝突時の変形は無視できる。その場合、ダスト構造はいわゆる、BCCAというフラクタル構造となる。ダストの成長が進むと、その質量と共に衝突エネルギーも増加し、衝突の際の変形が重要になるであろう。そこで、我々はBCCA構造をもつダストが変形圧縮を開始するのにどの程度の衝突エネルギーが必要かを数値計算により調べた。その結果、従来の研究の解析的見積りを支持する結果を得た。さらに、ダスト衝突圧縮の数値計算を繰り返し行うことで、圧縮によるダスト構造(強度と密度)の進化の様子を明らかにした。数値計算の解析により、平均的には、ダスト強度はその密度の3乗に比例することが明らかになった。この関係は、簡単な解析的モデルからもおよそ再現することもできる。この強度モデルが有効であれば、これによりダストのサイズ密度進化を記述することができる。現在さらに多様な衝突数値計算を行い、この強度モデルの有効性、一般性を検証している。
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