2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山内 茂雄 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (60260410)
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Keywords | X線 / X線スペクトル / 銀河面X線放射 |
Research Abstract |
X線天文衛星「すざく」を用いて観測したデータの解析を行い、以下のような知見を得た。 1)銀河面領域に存在する拡散X線放射の観測を目的として行った盾座方向の領域の観測中に、視野内にトランジェント天体を発見した。この天体の位置を求め、過去の観測結果と比較した。位置決定誤差内にチャンドラ衛星で発見したX線天体が4つ存在する。また、時間変動、X線スペクトルの解析を行い、フレア的な強度変動を示すこと、スペクトルには鉄イオンからの輝線が存在し、高温プラズマガスからの放射のモデルでよく説明できることを明らかにした。これらの特徴から、この天体がRS CVnタイプの連星系、前主系列星、白色矮星を含む連星系のいずれかであると結論した。 2)銀河面上の盾座領域で観測した拡散成分のスペクトル解析を行った。鉄輝線は電離の進んでいない鉄、ヘリウム状にまで電離した鉄、および水素状まで電離した鉄からの3本の輝線からなること、これらの輝線には有意な広がりが見いだせないことを明らかにした。これらの特徴から電離非平衡状態にあるプラズマガスからの放射である可能性を否定した。また、高速で飛来する宇宙線中の鉄イオンが、銀河円盤領域に存在する水素との間で電荷交換を行い、その結果、鉄輝線を放射するという可能性も低いと考えられる。銀河面X線放射の全体像を明らかにするためには、盾座領域以外の領域の拡散成分との比較を行うことが必要である。そこでX線スペクトルの違い、特に鉄輝線の強度比や輝線幅の違いに注目した調査を開始した。
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Research Products
(5 results)