2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540228
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山内 茂雄 Iwate University, 人文社会科学部, 准教授 (60260410)
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Keywords | X線 / X線スペクトル / 銀河面X線放射 |
Research Abstract |
X線天文衛星「すざく」により取得した観測データの解析を行い、次のような結果を得た。銀河面上の様々な領域で観測した拡散成分のスペクトルについて、いずれの領域でも鉄輝線は電離の進んでいない鉄、ヘリウム状にまで電離した鉄、水素状まで電離した鉄からの3本の輝線が存在すること、これらの輝線には有為な広がりが見いだせないことを明らかにした。X線点源の中で電離の進んでいない鉄元素からの輝線を含む3本の鉄輝線を示すものは白色綾星連星系以外には見当たらないこと、連続成分に対する電離の進んでいない鉄元素からの輝線の強度比が白色矮星連星系のものとほぼ同じであることから、点源集合説を考えるならば、白色綾星を含む連星系がその多くを担っていなければならないことになる。そこで観測された輝線強度から、必要とされる白色倭星連星系の空間密度を見積もった結果、白色綾星連星系で銀河面X線放射のすべてを説明するには、これまでに観測されている空間密度を1桁以上超える高い値が必要となることがわかった。またもヘリウム状、水素状の鉄からの輝線の強度比が、銀河円盤領域、銀河中心近傍とで系統的に異なっており、このことは起源が異なっていることを強く示唆する。このように鉄など重元素の放射する輝線スペクトルの詳細観測が起源解明の手がかりとなることがわかってきたが、観測領域はまだ限られており、銀河系の広い領域の観測データで空間分布や輝線比の空間構造を系統的に調査することが重要である。一方、盾座領域で得られた0.5-10keVのバンドのスペクトルを解析した結果、数千万度の温度のガスからの放射に加えて、800万度程度の温度のガスからの放射が存在することを確認した。さらに0.5keV以下のバンドにはこの2成分モデルでは説明できないX線放射が残るようである。今後も広帯域スペクトルの解析を進めていくを予定である。
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