2006 Fiscal Year Annual Research Report
乱流状態にある磁気分子雲コアの分裂と連星系の形成について
Project/Area Number |
18540234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 文隆 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (20291354)
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Keywords | 磁場 / 乱流 / 自己重力 / 数値シミュレーション / 星間雲 / 星形成 / 磁気拡散 / 連星系 |
Research Abstract |
星形成の理論モデルは、太陽のような単独星の形成過程に焦点を絞り、研究が進められてきた。しかしながら、最近の観測から、銀河系内で誕生する星の大半は、連星系や多重星として生まれることが明らかになってきた。したがって、より一般的な星形成過程を理解するためには、連星系や多重星の誕生過程を解明することが必要不可欠である。本研究の目的は、星形成の直接の母体となる分子雲コアの分裂・収縮過程を、数値流体力学シミュレーションを用いて調べ、連星系の形成過程を明らかにすることである。本研究では特に、分子雲コア内で観測される乱流運動と磁気拡散の効果を正しく取り扱い、より現実的な状況設定でシミュレーションを行う。そのような計算は世界的にもまだ例が無く、本研究の大きな特徴である。 強い磁場によって支えられた分子雲コアは、磁場に沿って収縮し、平板形状になると予想される。この性質を用いて我々は以前、分子雲コアを幾何学的に薄い平板と近似し、その分裂・収縮過程を(比較的空間分解能の低い)2次元シミュレーションによって追跡した。本年度の研究では、まず2次元近似の妥当性を示すため、3次元計算を行い、2次元計算との比較を行った。3次元計算によると、予想通り、磁場に垂直な平板を形成し、星形成は平板内で進むことが分かった。原始星アウトフローの影響により、平板が鉛直方向に膨らむこともあるが、その効果も磁場が強い場合にはそれほど大きくない。 乱流の速度分散は、時間とともに急速に減少するが、磁気音速程度に達すると、減少は非常に遅くなる。また、このときの乱流スペクトルは、原始星アウトフローの効果を入れても、コルモゴロフ乱流やバーガーズ乱流のような長波長ほど大きいべき乗分布にはならず、波数依存性が小さい、フラットに近い分布になることが分かった。これらがコア形成とどのような関係があるかは今後明らかにしていく予定である。
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