2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーブラックホール近傍での磁気リコネクションによる相対論的ジェット形成機構の解明
Project/Area Number |
18540236
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小出 眞路 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (20234677)
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Keywords | 相対論的ジェット / 磁気的橋 / カーブラックホール / 一般相対論的電磁流体力学 / 活動銀河核 / マイクロクエーサー / ガンマー線バースト / エルゴ領域 |
Research Abstract |
宇宙における相対論的ジェット形成機構の解明のため我々が行った一般相対論的電磁流体力学(GRMHD)の数値計算を契機として最近多くのGRMHD数値計算が行われるようになった。しかし,宇宙ジェットを説明するような相対論的ジェット(ローレンツ因子10以上)の生成に成功した例はない。ここで相対論的ジェットが形成されるための重要な効果を落としてしまっている可能性がある。実際現在の全てのGRMHD計算では理想MHD条件を用いているので磁気リコネクションの効果を考えていない。一方,磁気リコネクションは宇宙プラズマの磁気的エネルギーをプラズマ運動エネルギーへ変換する機構として重要であることが知られている。最近我々が行った非常に速く回転するブラックホールのまわりにそのエルゴ領域と降着円盤をっなぐ磁力線(磁気的橋)がある場合の計算でも磁気リコネクションが起こる状況が自然に生じることが示された。すなわち,エルゴ領域と降着円盤をつなぐ磁気的橋はエルゴ領域の空間の引きずり効果によりねじられ,磁気圧が高くなり爆発的に膨張し磁場が引き伸ばされ反平行の磁揚が生成される。この反平行磁揚の磁気中性面で磁気リコネクションが起こり,ジェットがさらに加速される可能性がある。 この磁気リコネクションによるジェットの追加速を調べるために我々はGRMHD計算に電気抵抗を考慮する方法を開発した。現在,理想GRMHDで計算した場合と同じ初期条件,すなわちエルゴ領域と降着円盤を結ぶ磁気的橋のある場合の計算を行っている。電気抵抗が小さい場合において理想GRMHDの計算結果と同様に磁気的橋が爆発的に膨張し噴流が形成されるところまでの計算に成功している。しかし,反平行磁場が形成されるまでは至っていないので,磁気リコネクションは起こっていない。今後長時間計算を行うことにより磁気リコネクションによる相対論的ジェットの形成機構を明らかにしてゆく。
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