2008 Fiscal Year Annual Research Report
原始惑星系円盤における弱電離プラズマ素過程と惑星形成過程の理論的研究
Project/Area Number |
18540238
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
犬塚 修一郎 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80270453)
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 惑星形成 / 星形成 / 磁気流体力学 / 塵粒子 / プラズマ / 摩擦電離 / 電離度 |
Research Abstract |
原始惑星系円盤内での磁気乱流の発達の程度を決める最も重要な要素はガスの電離度であるが、塵粒子の(接触)摩擦電離がこの電離度を左右する重要なメカニズムとなる可能性があることがわかってきたため、その取り扱いについて調査を行った。しかしながら、この摩擦電離という現象はミクロの視点では物理的な理解がまだ得られておらず、部分的な実験データのみが学術雑誌に報告されている。20年度はその結果を集め、原始惑星計円盤について応用する準備ができた。次年度には論文化する予定である。また、磁気乱流状態の円盤内で複雑な乱流運動を行う塵粒子の合体・成長・沈殿過程を解析することの重要性は多くの研究者が認識しており、本研究課題の一部であるため、主に数値シミュレーションの技法でこれに取り組むため、多数の粒子を扱う高速の計算機を購入した。当初は専用計算機ボードであるGRAPE6ボードの発展版であるGRAPE/DRボードを導入することを計画していたが、最新の計算機資源として、学術的な高速計算を可能とする画像処理ボード(GP-GPU)を購入して、専用計算機を組み立てた。今後は、これを用いて、電荷を帯びた塵粒子集団の物理素過程の研究をさらに進める。一方、20年度は本研究課題の当初の目的の一つであった原始惑星系円盤の散逸現象についても研究が進み、磁気回転不安定性による乱流の結果として円盤上層部からは激しい磁気流体力学的円盤風が流れ出し、極めて効果的な円盤ガスの散逸メカニズムとなることがわかった。この結果はAstrophysical Journal Letters誌に発表された。その他、木星型巨大ガス惑星の形成過程の3次元流体力学的進化計算に関する研究など計13本の論文を査読付欧文雑誌に発表した。
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Research Products
(15 results)