2008 Fiscal Year Annual Research Report
高精度ハイブリッドシミュレーションで探る銀河の発生学
Project/Area Number |
18540242
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森 正夫 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (10338585)
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Keywords | 銀河形成 / 銀河進化 / 大規模シミュレーション / 宇宙物理学 / 理論天文学 |
Research Abstract |
これまでに開発してきた並列計算機上で効率的に動く自己重力多体系と自己重力流体系が混在した系のハイブリッドシミュレーションコードAFD2を使用して108-1012太陽質量の銀河質量のシミュレーションを行った。我々が一般に標準的パラダイムとして信じているコールドダークマターを基本とした宇宙における階層的構造形成のシナリオでは、宇宙の初期にビルディングブロックと呼ばれる媛小銀河スケールの小さな銀河ができ、それらの銀河が次第に合体を繰り返しながらやがて大きな銀河へと成長することを示唆している。このモデルは宇宙の大規模構造などの大きな構造や銀河の統計的性質を説明する上で重要な役割を果たしてきた。その一方で、最近のワイドフィールドサーベイの観測によると、赤方偏移が1までの宇宙に限っていえば、銀河形成過程は階層的構造形成が示唆するようなボトムアップ的な進化ではなく、むしろ先に大きな銀河が出来上がり、その後で、倭小銀河が出来始めるといったトップダウジもしくは、ダウンサイジングといった構造形成の兆候が明らかにされた。本研究で低質量銀河でかつ低密度領域から誕生するような銀河の形成過程で、超新星爆発による銀河システムへの力学的・熱力学的影響が星形成史におよぼす影響を調べ、超新星爆発によるエネルギーインプットが重力ポテンシャルの浅い倭小銀河の形成をどの程度遅延させるのかを詳細に調べた。さらに、原始銀河でのダストの存在は銀河進化の見かけに大きな影響を与えることを検証するため、上記の研究で得られた系統的な銀河進化模型で銀河のダストの寄与を考慮した場合のSEDを計算した。
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