2008 Fiscal Year Annual Research Report
星周塵候補物質における微粒子の形状による光学的性質への影響
Project/Area Number |
18540243
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小池 千代枝 Osaka University, 理学研究科, 招へい研究員 (20097835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅原 弘毅 大阪大学, 理学研究科, 特任研究員 (70379296)
周藤 浩士 大阪大学, 国立天文台・光赤外研究部, 助教 (50300710)
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Keywords | 赤外線天文学 / 光物性 / 星周塵 / 微粒子の形状 / 格子歪み / 赤外吸収ピーク / フォルステライト / 未同定のピーク |
Research Abstract |
星周塵の進化を明らかにするために、我々はこれまで星周塵候補物質の光学的性質をいろいろな角度から明らかにしてきた。昨年度はolivine,forsteriteのバルクをすりつぶした粒子の不規則形状をボールミルで形状を変化させた場合は、赤外スペクトルの各ピークは短波長側にシフトしたことを報告した。 今年度は球状のアモルファスのフォルステライト組成の粒子(平均サイズ80nm)を加熱して形状とスペクトルとの関係を調べた。アモルファスな粒子は10、18ミクロンの幅広い吸収を示し、さらに18ミクロン領域は18、23ミクロンに二つのピークを持っていた。この球状の粒子を600、650、700、800、1100、1130、1150、1200度に加熱して形状、X線回折、赤外スペクトルの関係を調べた。800度ではX線回折、電子線回折できれいな結晶を示した。さらにSEMでの観察では温度を上げるにつれて球状粒子同士の接合・凝集が増えて、1200度では完全に不規則形状を示した。これらの赤外スペクトルは低温での加熱では球状のスペクトルで、各ピークは鋭く、温度を上昇させるに従い各ピークも鈍って1200度では不規則形状と似たスペクトルになった。例えば加熱した粒子のスペクトルの11ミクロン、19ミクロン、23ミクロン、33ミクロンのピークの位置は不規則形状より短波長側にピークを示し、それらの鋭いピークは加熱温度上昇により徐々に鈍った。いろいろな温度でのスペクトルと観測と比較するとこれまでの未同定のピークの幾つかは球状のフォルステライトで説明できることが明らかになった。すなわち、星周でのMg-richなダストは不規則形状ばかりでなく球状のダストも少量存在していることがわかった。これはダストの生成の過程を検討する鍵となり重要な発見である。
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