2006 Fiscal Year Annual Research Report
原子炉ニュートリノ振動実験のための前置検出器の開発
Project/Area Number |
18540247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三井 唯夫 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20283864)
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Keywords | 素粒子実験 / ニュートリノ / 原子炉 |
Research Abstract |
原子炉ニュートリノ振動実験のための前置検出器として、粒子識別能力のある検出器開発を行った。セグメント化された100リットルの液体シンチレータ検出器を製作し、発光量、シンチレーション光の伝播、収集効率の測定およびシミュレーションを行った。また線源を用いて、バーテックス分解能、エネルギー分解能の測定、調整を行い、さらに、シンチレータ中の溶け込んだラドン(^<222>Rn)濃度を、ビスマス(^<214>Bi)、ポロニウム(^<214>Po)のシグナルから測定する事に成功した。この測定は、神岡坑内、地下1000mの、宇宙線バックグラウンドが非常に低い条件下で行ったため、前置検出器で実際に問題となるであろう中性子バックグラウンドは、ほとんど観測されなかった。そこで、今回作成した15cm×15cmのセグメントで、中性子バックグラウンドを除去できるかどうかの計算機シミュレーションを、今回の検出器のデータをもとに調整した。いっぽう地上などの、高バックグラウンド環境化での測定に向けて、発光量の小さいシンチレータ開発を始めた。発光量の小さいシンチレータでは、チェレンコフ光のシンチレーション光に対する比が相対的に大きくなる事を利用してチェレンコフ光による粒子識別を目指しているが、この方法を、カムランドのデータに適応する解析方法を開発した。カムランドでは、シンチレーション光が強いため、この方法での粒子識別は不可能であったが、偶発的にチェレンコフ・リングが偽装されるバックグラウンドは、ほぼ確率計算の通りである事が確認された。
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