2007 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論とM理論のダイナミックスおよびその共変的定式化の研究
Project/Area Number |
18540252
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
風間 洋一 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60144317)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 幸士 理化学研究所, 仁科加速器研究センター・川合理論物理学研究室, 研究員 (80345074)
|
Keywords | 超弦理論 / 平面波背景場 / ラモン・ラモンーフラックス / 共形不変ゲージ / Dブレーン / ホログラフィックQCD / グルーボール / サイバーグ双対 |
Research Abstract |
風間は、AdS/CFT対応の本質の解明を目標として、特にこれまで理解が遅れている弦理論側について研究し、以下の成果を得た。ラモン・ラモン-フラックスを含む曲がった平面波背景場中の超弦理論はAdS/CFTの一つの極限として重要な意味を持つが、これまで、弦理論の要である共形不変性を犠牲にしたlight-coneゲージでしか量子化ができず、相互作用の解明等に困難が生じていた。共形不変性を保つゲージでは理論が非線形になるため、正準量子化は困難にあるが、風間はヴィラソロ代数がスペクトル生成代数として機能するため、ダイナミックスを表現論に置き換えることができることに着目することにより、位相空間変数での量子化を行い、量子化されたヴィラソロ演算子を構成することに成功した。これは共形不変ゲージでの理論解明の基礎となる重要性を持つものである。 一方橋本は、弦理論の非摂動的な物体であるDブレーンを用いて、弦理論とQCD(素粒子の標準模型に含まれる量子色力学)の新しい関係を導いた。Dブレーンから自然に従うゲージ重力対応を超対称性のないQCDに応用することで、クォークの力学とクォークの複合粒子であるハドロンの力学との関係をつける分野は「ホログラフィックQCD」と呼ばれる。我々はパイ粒子の質量とクォーク質量の関係を研究し論文として発表した。この研究は、観測されているあるハドロンがグルーボールであることの証拠を与える研究につながっている。次に、超対称化されたQCDにおける非摂動的励起であるQCD弦を、サイバーグ双対とDブレーンを用いて、古典的に表現する方法を与えた。この手法により、QCD弦の安定性やその新しい性質を明らかにした。これらの研究成果は、イタリアと台湾での招待講演や、国内の多数の国際研究会での招待講演で発表した。
|
Research Products
(4 results)