2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540260
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松原 隆彦 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00282715)
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Keywords | 宇宙論 / 宇宙の大規模構造 / 宇宙背景放射ゆらぎ / 統計的宇宙論 / 宇宙バリオン音響振動 / 銀河バイアス |
Research Abstract |
本年度の業績は、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)の2度にわたるデータリリース、そのデータを用いた銀河クラスタリングの解析、宇宙のバリオン音響振動に対する数値シミュレーションの解析、宇宙背景放射ゆらぎのWMAPデータを用いた非ガウス性の解析、宇宙論的な非線形摂動論におけるバイアスと赤方偏移変形の取扱いに対する新しい理論の提案と定式化、銀河分布の非線形パワースペクトルにおける原始非ガウス性の影響の摂動的理論計算、バリオン音響振動の非線形成長に関する数値シミュレーションと理論モデルの比較、などである。中でも、高赤方偏移宇宙の大規模構造を用いた宇宙論に対する本質的に新しい理論的手法を提案した。この業績はダークエネルギーの制限を行う観測に対して重要な手法を与えることが期待でき、他の研究グループによってもすでにこの理論が使われた。今後の構造形成解析の分野にさらに大きな影響を及ぼすことが期待される。他にも、宇宙背景放射のゆらぎのデータから原始非ガウス性を制限するのに、Minkowski Functionalを用いた解析的手法を初めて用いて実際のデータ解析を行った。非ガウス性の観点は、銀河のパワースペクトルの非線形成長の面からも解析的に調べて、この分野に新しい知見をもたらした。大規模構造の非線形成長については数値シミュレーションの手法も活用し、強非線形領域のふるまいを明らかにした。
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Research Products
(12 results)