2006 Fiscal Year Annual Research Report
ローレンツ不変性の破れの可能性とその宇宙論へのインパクト
Project/Area Number |
18540262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早田 次郎 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00222076)
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Keywords | インフレーション / ローレンツ不変性の破れ / ベクトル・テンソル重力理論 / 揺らぎ / 超弦理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、スカラー・ベクトル・テンソル重力理論の枠組みで、宇宙のダークエネルギー、ダークマター、インフレーション理論等の諸問題を解決する可能性を探求することにある。同時に、スカラー・ベクトル・テンソル理論と超弦理論との関係を研究し、ローレンツ不変性の破れを通した超弦理論の検証の道も探る。 18年度は、ベクトル・テンソル重力理論及びその拡張であるスカラー・ベクトル・テンソル重力理論によるローレンツ不変性の破れとその宇宙論へのインパクトを研究した。主に行ったのは、ローレンツ不変性の破れがインフレーション理論へ与える影響についての研究である。ローレンツ不変性が破れた場合には、スカラー場が時間変化しているにも関わらず、揺らぎのスペクトルがスケール不変に留まるということを示した。これはインフレーション理論の新たな側面を示したものである。 また、超弦理論に基づき、熱揺らぎから宇宙の構造形成を説明する可能性を研究し、強結合領域で熱揺らぎが生成されれば、インフレーションに代わる構造形成の理論となりうることを示した。この強結合相とローレンツ不変性の破れの関係は今後の課題である。 関連する研究として、回転するブラックホールからのホーキング輻射を、一般座標変換の対称性の破れを使って導出することに成功した。
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