2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540263
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
延與 佳子 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (40300678)
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Keywords | 分子動力学 / 不安定源子核 / クラスター |
Research Abstract |
最近、12Cの第二0+状態が3つのαクラスターが緩く束縛したクラスター気体的な状態であるという提案がTohsakiらによってなされ、他の原子核にもこのような励起状態が現れるかが注目された話題になっている。我々は、11Cや11Bなどの原子核の励起状態を系統的に研究し、励起エネルギー8MeV近傍に、非常に発達した3体クラスター的な構造が表れうることを予言した。理論計算でGamov-Tellar遷移やM1遷移の実験値を非常に良く再現でき、クラスター的状態とシェル模型的状態の混在を示唆する興味深い結果が得られた。さらに最近の非弾性散乱実験で、基底状態からこの励起状態へ強い単極子遷移が観測されたが、我々の理論計算においてその実験値を再現することに成功した。この3体クラスター的状態は強い単極子遷移に特徴づけられ、3つのクラスター(2α+t)が緩く束縛された状態であることを理論的に示し、12Cの第二0+状態に類似したクラスターの気体的な状態の候補と考えられるという新たな知見を得た。さらに13Cの励起状態に3体クラスター的な構造が出現しうるかを調べた結果、第三1/2-状態に3α+n的なクラスター状態が出現することを理論的に予言した。計算結果は、予言した状態はクラスターが自由に運動する気体的な状態ではなく、むしろ、3αが幾何学的な三角形配位をもつことが示唆している。 また、13Bの励起状態の構造を研究し、励起状態に大きな変形構造が表れる可能性を提案した。この変形構造から構成される回転帯として、2つの中性子が励起した不パリティ回転帯と、2つの中性子と1つの陽子が励起した正パリティ回転帯を予言した。低いエネルギー領域にこのような多粒子-多空孔配位が現れることは驚くべきことであり、13Bにおける2αクラスター芯と分子軌道の形成が要因であると予想される。また、この理論結果は、最近、実験でみつかった1/2+状態に対応するものと考えられる。
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