2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
延與 佳子 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 准教授 (40300678)
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Keywords | 分子動力学 / 不安定原子核 / クラスター |
Research Abstract |
最近、12Cの第二0+状態が3つのαクラスターが緩く束縛したクラスター気体的な状態 であるという提案がTohsakiらによってなされ、他の原子核にもこのような励起状態が現れるかが注目された話題になっている。特に中性子過剰原子核において2中性子がスピンゼロの対を構成したクラスターが発達するかという問題は、α凝縮状態や2中性子凝縮問題として非常に興味深い問題である。我々は、中性子過剰なHe同位体の基底状態および励起状態を理論的に研究し、6Heや8Heにおいて2中性子相関について解析を行った。その結果、例えば6He基底状態において発達した2中性子クラスターは、8Heにおいてはスピン軌道力の効果で壊れやすいことがわかった。さらに注目すべき結果として、8Heにスピンパリティ0+の励起状態が出現することを理論的に予言し、この状態が2つの2中性子がαクラスターの周りを回るα+2n+2n構造が発達する可能性を示した。2つの中性子は非常に緩く束縛して密度の薄い気体的状態であることを示し、2中性子凝縮状態の候補であることを理論的に示唆した。中性子過剰な原子核において2中性子凝縮が起こる可能性を指摘した画期的な成果である。 また、13Bの励起状態の構造を研究し、励起状態に大きな変形構造が表れる可能性を提案した。この変形構造から構成される回転帯として、2つの中性子が励起した負パリティ回転帯と、2つの中性子と1つの陽子が励起した正パリティ回転帯を予言した。負パリティに対する理論結果は、励起エネルギー10MeV近傍に最近の実験で見つかっている励起状態に対応するものと考えられる。
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