2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540263
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
延與 佳子 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40300678)
|
Keywords | 中性子過剰核 / クラスター / 分子動力学 / 原子核構造 |
Research Abstract |
本年度は、C同位体およびNe同位体について、励起状態に出現するクラスター構造の理論的探索を行った。理論的手法としてはプログラムが完成している反対称化分子動力学法(AMD)を用いた。主に、拘束条件を課した変分計算に基づくAMD法を適用して基底状態および励起状態の構造計算を行った。四重極変形度に拘束をかけたAMD法を9Li,10Be,11B,12C原子核に適用し、この手法が有効であることを確かめた。またNe同位体については、クラスター間距離を拘束座標に採用した。C同位体おいて3つのαクラスターから形成されるクラスター気体的な状態およびポリマー状態を研究し、14C原子核における3αチェーン構造が励起状態に現れることを理論的に示唆した。Ne同位体に関しては、22Neの励起状態の構造を理論的に調べた結果、αクラスターの芯をもつαクラスター状態の他に、空間的な相関をもつ2αクラスターすなわち8Beクラスターが発達した14C+8Be構造が高い励起状態に現れる可能性を指摘した。これらの結果から、閾値エネルギー近傍に発達したクラスター構造が出現するという性質は安定原子核のみならず、不安定原子核においても普遍的に見られる性質であるという新しい知見を得た。さらに、中性子過剰核における2中性子相関に関するテーマとして、中性子過剰なHe同位体の2中性子密度の解析を行い、6Heおよび8Heの核表面には2中性子相関に起因した2中性子密度の増大が見られることを指摘した。
|