2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540264
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川合 光 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (80211176)
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Keywords | 超弦理論 / 素粒子論 / 統一理論 / 非摂動的定式化 / 行列模型 / 量子重力 / 粘弾性 / ゲージ重力対応 |
Research Abstract |
標準模型が確立された現在、プランクスケールで重力まで含めたすべてのものが統一されていると考えるのはきわめて自然であり、その最も有力な候補が超弦理論である。しかしながら、超弦理論は無限に多くの摂動論的に安定な真空を持つため、現実的な予言をするためには、摂動論によらない完全な定式化が不可欠である。その有力な候補が行列模型であるが、理論の単純さにもかかわらず、その振る舞いはいまだに理解されていない。行列模型を解析的・数値的両面の様々な角度から解析し、超弦理論のダイナミクスを理解し、上記の目標にせまるのが本研究の目的である。 具体的な成果は次のとおりである。(1)ゲージ重力対応が拡張されたスケール不変性の帰結として自然に成り立つことを示し、IIB行列模型がゲージ重力対応を内包していることを示した。 (2)IIB行列模型の真空として10次元のtype IIA理論が現れる具体的なメカニズムを見つけ、弦理論のいろいろな摂動論的真空が行列模型によって実現される様子を解析した。(3)行列模型における一般相対論的不変性の解析をさらに進め、行列模型や力学的単体分割をはじめとするrandom geometryが粘弾性と同じユニバーサリティをもつことを示した。これは、よく知られた場の量子論とスピン系の統計力学の関係を量子重力に拡張したものであり、応用として粘弾性体の時間発展を記述する普遍的な方程式を導くなど、さまざまな発展が期待できる。
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