2006 Fiscal Year Annual Research Report
高次元超重力理論における超対称解の大域的構造と安定性の研究
Project/Area Number |
18540265
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小玉 英雄 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40161947)
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Keywords | M理論 / 超対称解 / コンパクト化 / ブレインワールド / 高次元ブラックホール / 摂動論 / 安定性 / 宇宙項 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は次の通りである.1) M理論における光的超対称解のコンパクト化:昨年度,M理論において光的Killingスピノールを含む16超対称をもつ解の一般的なクラスを求めた.この解のクラスでは計量が対角型となることを要請していたが,まず,この要請をはずしても依然として同じ超対称性をもつ解となることを示した.この解のクラスは9個以上の1変数任意関数を含むが,それらをうまく選ぶと,2つの漸近的に平坦な領域をもつ正則超対称解が得られる.この解のトーラスコンパクト化について調べ,コンパクト化に用いる離散群の生成ベクトルに4次元時空方向の成分をわずかに持たせると,一定サイズの6次元トーラスを内部空間としてもつ領域とコンパクト化のサイズが無限大となる11次元平坦領域の2つの領域を滑らかにつなぐ超対称解が構成できることを示した.さらに,この解を組み合わせることにより,内部空間サイズ一定のコンパクト化領域が光速で拡大してゆく動的な解を構成することも可能であることを指摘した.この成果は,Prog.Theor.Phys.誌に発表した.2)ブレインワールドブラックホールの摂動論的構成:バルク時空が4次元のブレインワールドモデルでは,加速運動をするブラックホールを表すC計量が3次元ブレイン上に中心を持ち4次元的に局在化したホライズンをもつ静的球対称ブラックホール解となることが知られている.このC計量の高次元への拡張を摂動論により研究し,バルク時空が5次元となるRandall-Sundrumモデルにおいて静的(4次元)球対称ブラックホール解を構成する問題を(ブラックホール質量が小さい極限で)ひも型重力源の質量密度に対する方程式に帰着した.3)高次元特殊回転ブラックホールの摂動安定性:宇宙項が負で角運動量が1成分のみをもつ高次元回転ブラックホール解のテンソル型摂動の振る舞いを調べ,角運動量が宇宙項の大きさから決まる上限値以下なら,このタイプの摂動は安定であることを示した.以上の2),3)については,さらに研究を継続中である.
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Research Products
(1 results)