2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540279
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 正章 Kyushu University, 理学研究院, 教授 (20228422)
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Keywords | 超新星 / 恒星進化 / 中性子星 / ニュウートリノ / 元素合成 / 放射性元素 / 銀河の化学進化 / 太陽系組成 |
Research Abstract |
今年度はこれまでの研究計画に対する成果にのっとり以下の手順で研究を進めた。先ず恒星進化のモデルとして大質量星の下限と上限に対応して太陽質量の13及び70倍の星のpresupernovaモデルを再構築して核融合反応の際の対流に関する詳細な情報を得た。これから星の各計算メッシュについて進化の各ステージで詳細な元素合成を行った。このようにして主系列から重力崩壊開始までの進化の途上での重元素合成を遂行する目的を達成できた。ただし、星の各メッシュについて数百の元素合成計算を同時に行うことになるので多大なる計算時間を要することが判明し、今後の課題として、恒星進化と元素合成計算を並列化して計算していくコードを開発する必要がある。さらに今年度の目的を達成するために、進化の最終段階での星の構造と元素組成を得ることができたので、そのモデルを初期モデルとし超新星爆発のコラプサーモデルに用いて超新星の爆発的元素合成を行った。その結果、適当な磁場と回転のパラメータのもとではジェット状爆発が起き^<56>Ni、57Co、^<44>Tiという超新星観測で最も重要な元素が多量に生成されることが判明した。さらに原子核の質量数で40-70までの元素生成が太陽系組成比と極めて一致がよくこれはこれまでの球対称爆発モデルでは再現できなかったことである。これらの結果をまとめて現在投稿中である。上記の計算は太陽の70倍の質量をもつ星について行い、これが成功したので全ての大質量星について実行可能な段階にきた。また、重元素合成については星の進化の段階でのs-過程とp-過程の元素合成が可能になり、この結果を爆発のシミュレーションのモデルと重ねあわせることにより正確な重元素合成の計算ができるようになった。これらの計算手法を大質量星全般に適用すれば宇宙初期からの銀河の化学進化計算につなげることが可能になり観測との比較検討ができる段階に入った。次の段階としてニュートリノ輸送を爆発のシミュレーションに1次元近似のもとで可能になったが、近似の正当性に欠けるので目下拡散方程式を磁気流体計算にカップルさせて計算するコードを開発中であり、今後の課題として残っている。また、ニュートリノ輸送を取り入れても爆発に伴いr-過程元素合成が起きうることがわかったことである。従来の球対称計算ではニュートリノ反応により電子捕獲が進まず、r-過程は起きないといわれていたが、実際にはかなり微妙な反応の競合により可能であることが分かり学会発表を行った。
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Research Products
(4 results)