2006 Fiscal Year Annual Research Report
COMPASS実験によるハドロン構造とエキゾチックハドロンの研究
Project/Area Number |
18540281
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
松田 達郎 宮崎大学, 工学部, 助教授 (20253817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 治隆 宮崎大学, 工学部, 教授 (30025465)
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Keywords | 素粒子実験 / 実験核物理 / 加速器 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究はヨーロッパ合同原子核研究機構(CERN、スイス・ジュネーブ)の超陽子シンクロトロン(SPS)加速器を用いてCOMPASS (COmmon Muon Proton Apparatus for Structure and Spectroscopy)実験として国際的に共同して核子のクォーク・グルーオン構造を高精度で測定し、またエキゾチックハドロンの探索および反応特性の解明を行うものである。本年度においては、従来用いてきた偏極標的装置に替えて、日本グループが大きく貢献して製作した大型超伝導ソレノイド型偏極磁石をセットして実験データ収集を行った。この新たな大型偏極磁石への更新に伴い、実験データの質および統計量の向上が可能となった。また、イタリアを中心とするサブグループによって大型リング・イメージ・チェレンコフ検出器の中心部の光検出器がガス検出器から光電子増倍管に交換され、粒子識別の効率が向上した。データ収集は6月下旬より行い、11月上旬までのデータ収集を無事終了することができた。今年度収集した実験データについては解析を進めているところである。本年度は、2004年までに収集したデータについての解析をまとめて、核子の横偏極非対称度についての総合論文1本、さらに縦偏極標的によるデータを解析して重陽子のスピン依存構造関数に関する速報論文2本を出版した。2006年10月に京都で開催されたSPIN2006国際会議では、グループとして総計10本の講演がなされた。また、11月にハワイで開催された太平洋地区素粒子物理合同学会では、日本グループとして3本の口頭報告を行った。これまでに解析した結果では、いずれのデータも核子内のグルーオン偏極度は大きくないことを示すもので、京都国際会議では米国RHIC実験およびドイツHERMES実験からもグルーオンスビンは同様の傾向を示すことが報告されたが、COMPASS実験のデータがきわめて重要であることが示された。
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Research Products
(3 results)