2008 Fiscal Year Annual Research Report
時空超対称性に基づく反ド・ジッター時空の弦とブラックホールの物理
Project/Area Number |
18540287
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Research Institution | Urawa University |
Principal Investigator |
初田 真知子 Urawa University, こども学部, 教授 (10364887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 俊弥 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (00222323)
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Keywords | AdS / CFT対応 / 反ド・ジッター時空 / ヘテロティック弦理論 / 射影的超時空 / N=4超対称ヤン・ミルズ理論 / 射影的空間 / OSp(2|2) / 特異的カラビ・ヤウ空間 |
Research Abstract |
超弦理論が重力を含む統一理論であるかどうかという試金石のひとつとしてブラックホールの物理がある。重力理論ではブラックホールでは特異点としてしか記述されないが、量子重力理論としての超弦理論ではブラックホールのミクロな状態を記述するということが簡単な場合に示され、近年盛んに研究されている。弦理論のソリトン解であるDブレンが非常に重くなった極限で、ブラックホールができる。そのブラックホール解の時空における事象の地平線近くで反ド・ジッター時空になっている。本研究では、時空対称性を明白に持っ定式化を用いて反ド・ジッター時空上の弦とブラックホールのダイナミックスに関する物理の解明を目標として、(1)反ド・ジッター時空上の超弦理論の量子論の定式化、(2)ブラックホールを含むような内部空間でコンパクト化した場合の理論の構成、に取り組んだ。時空の超対称は、その超弦理論の真空からタキオンという不安定なモードを取り除き、系の安定性を保証する。また、超対称なボゾンとフェルミオンの量子効果同士がうまく打ち消しあい、量子異常の問題などを解決したり、量子論においても古典的な対称性が保障され様々な制約が付けられるなどの利点がある。反ド・ジッター時空の超弦理論を応用して(3)時空超対称性を明白に保つような超対称ゲージ理論や重力理論を与える超時空の構築にも取り組んだ。研究成果として、(1)反ド・ジッター時空上の超弦理論の量子論の定式化において、ヘテロティック弦理論のカレント代数による記述方法を論文にまとめた。(3)超時空超対称性を明白に保つ超時空の構築の問題に対して、射影的超時空を超対称性が4種類ある場合も含めた定式化を3本の論文にまとめた。(2)ブラックホールを含むような内部空間でコンパクト化した場合の理論の構成に対して、溝口氏によりブラックホールの作る2次元空間と特異点を含まない4次元空間の積でコンパクト化を行ったヘテロテック弦理論が提唱された。さらに、5次元や11次元の超重力理論の解として、ブラックホールの特異点を含むようなつぶされた球空間の解の構築方法についても研究し、発表した。
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Research Products
(10 results)