2007 Fiscal Year Annual Research Report
Landau-Pomeranchuk-Migdal効果の研究
Project/Area Number |
18540289
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 正 Aoyama Gakuin University, 理工学部, 助教 (60082822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 禎宏 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (50114161)
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Keywords | 宇宙線 / 宇宙物理 / 電磁相互作用 |
Research Abstract |
高エネルギーの電子が物質に入射すると、原子の近傍での多重散乱の影響でガンマ線の発生が著しく抑圧される。この現象がLPM効果で、LPM効果の検証には制動輻射の断面積に鋭敏な電子シャワーの発生点分布を調べることが最も効果的である。1ミクロン以下の位置分解能で飛跡を判別できる優れた検出器であるエマルションチェンバー(ECC:原子核乾板と鉛板を交互に組み合せた構造で、深さが9輻射長)を作り、2007年7月4日〜11日に欧州合同原子核研究機構(CERN)のH4ビームラインで佐藤と手塚が20GeV、50GeV、100GeV、250GeV電子線の照射実験を行った。照射後ECCを日本に空輸して現像を行い解析を始めたが、照射条件の設定不備によりシャワー発生点分布を調べるに必要な数の電子線が照射されていない。このため2008年7月にCERNで照射実験を行う(ビームタイムは採択されている)。 2004年にCERNのH4ビームラインで50GeVと200GeV電子線をECCへ垂直に照射し、シャワー最大値の深さの原子核乾板中でシャワー飛跡を顕微鏡で検出して発生点まで追い上げた。200GeV電子シャワーの発生点分布の実験結果はMigdalの断面積を用い解析的に求めた期待値と良く一致する。またLPM効果を取入れてあるEPICSコードを用いたモンテカルロシミュレーションの計算結果は実験結果と良く一致する。この比較からLPM効果の検証ができたと考えている。50GeV電子のシャワー発生点分布の実験結果はBethe-Heitlerの断面積を用いた解析的な期待値及びシミュレーション結果と良く一致する。50GeVではMigdalとBethe-Heitlerの断面積による差は小さく、LPM効果の影響は非常に小さい。
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