2006 Fiscal Year Annual Research Report
原子核の新しい殻構造とスピン依存型遷移の理論的研究
Project/Area Number |
18540290
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 俊夫 日本大学, 文理学部, 教授 (70139070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 敏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (60354883)
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Keywords | ニュートリノ-原子核反応 / 殻模型 / スピン・アイソスピン型核力 / ガモフ・テラー遷移 / 元素合成 |
Research Abstract |
スピン・アイソスピン依存型の核力部分を改良した新しい殻模型ハミルトニアンを用いて、超新星ニュートリノ、加速器ニュートリノによるニュートリノ-原子核反応の研究を行った。特に^4He,^<12>Cからの荷電変換反応、中性カレント反応の断面積を求め、それらが従来のハミルトニアンによる結果に比べて増大することを示した。また、ハウザー・フェッシュバッハ理論に基づき、中性子、陽子、α粒子およびγ線放出チャネルへの分岐比を求め、各チャネルへの反応断面積を求めた。特に中性子放出チャネルの断面積が従来の場合より増大することがわかった。これらの増大は超新星爆発時の元素合成に影響を与え得ること、特に、軽核^7Li,^<11>Bの合成率が増大することを示した。 一方、テンソル力の殻の進化・変化に果たす重要性をより一層明らかにした。p-sd殻の新しい殻模型ハミルトニアンのモノポール項の性質を調べることにより、核力のテンソル成分の改良が、ドリップ線近傍での殻構造の進化・変化およびスピン依存型遷移の著しい改良に重要な役割を果たしていることを明らかにした。^<47>ArでのN=28 shell-gapの減少、KアイソトープでのN=20〜28の殻の進化・変化(d_<5/2>-d_<3/2>gapの変化)が、テンソル力の効果で説明できることを示した。さらに、二体のスピン・軌道力も特にp-s軌道間で重要であり、殻構造の進化に重要な役割を担っていることを指摘した。 また、Fe,Ni領域のfp殻核について、新しいfp殻の殻模型ハミルトニアンを用いて、ガモフ・テラー遷移、ニュートリノ-原子核反応の研究を行った。遷移強度の増大と強度のより大きな分散が、ニュートリノ-原子核反応断面積を従来の結果から変化させ得ること、特に中性カレント反応の断面積が増大することを示した。また、中性子過剰になるにつれ、より多くの中性子が放出されることを示した。
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