2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540292
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中里 弘道 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00180266)
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Keywords | 量子ダイナミクス / マスター方程式 / デコヒーレンス / 場の量子論 / 階層性 |
Research Abstract |
本研究課題では,個々の具体的量子系のダイナミクスを量子系のおかれた状況をより忠実に取り込んだ形で解析し,これを通して異なる理論的枠組みをつなぐ鍵となる概念を見出すことを究極的な目標としている.本年度は従来の研究をさらに進めつつ,以下のような課題に取り組んだ. ・新しい量子状態純化法の散逸的環境下における有効性の吟味: 参照量子系に測定を繰り返すことを通して,参照系と結合した対象量子系の純化を行おうという状態純化の新しい手法において,これらの系を取り巻く環境系からの影響をLindblad型マスター方程式の形で取り入れて評価し,このような状況下での状態純化の有効性を吟味した.また,散逸的ダイナミクスを記述する代表的なマスター方程式に関しても,初期相関という観点からその有効性を再吟味するとともに,上記Lindblad型マスター方程式の演算子形式の解法を新たに提案した. ・場の量子論と量子力学: トンネル現象を量子多体問題として記述する方法として用いられることの多いtransfer Hamiltonianの枠組みと,通常の量子力学的散乱問題としての定式化との関係を明らかにすることを目指し,まず前者の理論的枠組みの再吟味を行ってきた.この際特に注意すべきことは演算子の自己共役性を保持することである.また,この枠組みにおいて従来両立させることが困難と思われてきた固有関数の完全性および直交性に関しては,一つの可能性に注目して検討を進めている.
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Research Products
(6 results)