2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540292
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中里 弘道 Waseda University, 理工学術院, 教授 (00180266)
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Keywords | 量子ダイナミクス / マスター方程式 / デコヒーレンス / 場の量子論 / 階層性 |
Research Abstract |
本研究課題では、個々の具体的量子系のダイナミクスを量子系のおかれた状況をより忠実に取り込んだ形で解析し、これを通して異なる階層での理論的枠組みをつなぐ鍵となる概念を見出すことを究極的な目標としている.本年度は以下のような課題に取り組んだ. ・繰り返し測定に基づく量子状態純化法の散逸的環境下での有効性の吟味: 参照量子系に測定を繰り返すことを通して、参照系と結合した対象量子系の純化を行おうという状態純化手法において、これらの系を取り巻く環境系からの影響を標準的な(Gorini-Kossakowski-Sudarshan-Lindblad型)マスター方程式の形で取り入れて評価し、状態純化の有効性を、昨年度に引き続き、吟味した.特に純粋度という指標で見た場合には、散逸状況下においても、純粋状態に近い状態が抽出できる可能性のあることが分かった.抽出される状態そのものについては引き続き検討中でありその漸近的評価を進めている. ・量子絡み合いの生成機構、転送機構の検討: 適切な初期状態が準備された場合の1次元あるいは2次元flux qubit配列系における量子絡み合い状態の生成手順、ならびにその転送機構を検討し、効率的な転送手順を考案した.一方、参照(qubit)系の対象(2qubit)系による3次元空間での散乱と測定操作によって、(適切な初期状態から出発して)対象系に量子絡み合い状態が生成できること.ならびにその機構を明らかにした.この際、繰り込み操作を施すことで散乱の高次の効果が全てきちんと取り込めることも明らかになった. ・場の量子論と量子力学: 昨年度に引き続き、transfer Hamiltonianの枠組みと、通常の量子力学的散乱問題としての定式化との関係を明らかにするため、本年度は特に、適切な完全系の選択という観点からの検討を進めている.
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Research Products
(2 results)