2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540292
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中里 弘道 Waseda University, 理工学術院, 教授 (00180266)
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Keywords | 量子ダイナミクス / マスター方程式 / デコヒーレンス / 場の量子論 / 階層性 |
Research Abstract |
本研究課題では,個々の具体的量子系のダイナミクスを量子系のおかれた状況をより忠実に取り込んだ形で解析し,これを通して異なる階層での理論的枠組みをつなぐ鍵となる概念を見出すことを究極的な目標としている.本年度は以下のような課題に取り組んだ. ・繰り返し測定に基づく量子状態純化法の散逸的環境下での有効性の吟味: 参照量子系に測定を繰り返すことを通して,参照系と結合した対象量子系の純化を行おうという状態純化手法において,これらの系を取り巻く環境系からの影響を標準的な(GKSL型)マスター方程式の形で取り入れて考察した.特に対象量子系の純粋度は測定回数とともに単調増加ではなく振動する可能性のあることが明らかになったほか,抽出される状態そのものについてもその漸近的振る舞いを評価した. ・繰り返し測定を用いた積層量子ドット系のトモグラフィー: 繰り返し測定による量子状態制御の枠組みを実現する物理系の一つとして縦型の積層量子ドット系がある.この系では偏極電流に接する端点の量子ドット(内の電子スピン)のみがspin-blockade測定によって繰り返し測定可能であるが,それにもかかわらず積層量子ドット系全体の状態準備や量子絡み合い状態の構成が可能である.実は所定の状態が確かに準備できているかどうかは確認の必要があり,今回,そのような量子状態を再構築する方法(トモグラフィー)を,端点の量子ドットの測定と各量子ドット(内電子スピン)に対する回転操作を組み合わせることで実現する方法を構築した. ・このほか,参照qubit系の3次元空間散乱によって標的2qubit系に量子絡み合い状態を生成する機構の分析を進め,散乱データによるトモグラフィーの可能性の解明にも取り組んだ.また,フェルミオンのantibunchingにおける横方向自由度の果たす役割とその重要性を詳細な解析によって明らかにした.
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Research Products
(6 results)