2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540293
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 健二 芝浦工業大学, システム工学部, 助教授 (90260984)
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Keywords | 宇宙線 / 暗黒物質 / 電子 |
Research Abstract |
WIMP暗黒物質の対消滅により生じる単一エネルギーの電子、陽電子は、100GeV以上のエネルギー領域で観測されることが期待されている。しかしながら、100GeV以上のエネルギー領域での宇宙線電子+陽電子観測は、エマルションチェンバー(ECC)による30年以上にわたる気球実験と南極上空でのATICによる長時間気球実験でなされているだけである。南極周回気球による宇宙線電子観測実験(PPB-BETS)でも100GeV以上の宇宙線電子観測が行われていたが、エネルギースペクトルは不十分なままであった。このため、PPB-BETSの観測データから、ほぼ最終的な形で宇宙線電子+陽電子のエネルギースペクトルを導出した。また、これまでの宇宙線電子+陽電子スペクトルを評価し、PPB-BETSの結果がBETSを始めとするこれまでの100GeV以下のエネルギースペクトル、ATICによる100GeV以上のエネルギースペクトルと一致していることを確認した。次に、WIMP暗黒物質の対消滅により生じる単一エネルギーの電子、陽電子は銀河系内を伝播して地球に到達するため、べきが-2乗のべキ型関数とHeaviside階段関数を組み合わせたエネルギースペクトルになることが期待される。エマルションチェンバーを始めとする100GeV以上の宇宙線電子+陽電子スペクトルに対して、観測装置のエネルギー分解能を取り入れて、この関数形を用いてWIMP暗黒物質起源の電子+陽電子フラックスの上限値、および対応する暗黒物質の質量を導出した。将来計画としては、宇宙ステーション搭載用電子観測装置CALETによる10TeVまでの宇宙線電子+陽電子観測計画がある。存在が予言されているWIMP暗黒物質から期待される電子+陽電子エネルギースペクトルがCALETによりどのように観測されるのかをシミュレーションし、有意に検出できる可能性があることを示した。
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Research Products
(3 results)