2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540293
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 健二 Shibaura Institute of Technology, システム工学部, 准教授 (90260984)
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Keywords | 宇宙線電子 / 暗黒物質 / 宇宙線陽電子 |
Research Abstract |
超対称性理論の予言するニュートラリーノや余剰次元理論の予言するカルツァークライン粒子のようなWIMP暗黒物質は、対消滅により電子・陽電子を生成することが計算されている。これらの電子・陽電子の内、特に単一エネルギーの電子・陽電子は100GeVからTeV領域のエネルギーを持つと期待されている。しかしながら、これまでに観測されている100GeV以上の宇宙線電子・陽電子観測データは不十分であり、ECCによる観測がほとんど唯一であった。このためPPB-BETSによる観測データを解析し、最終的な100GeV-ITeV領域の宇宙線電子+陽電子エネルギースペクトルを導出した。また、宇宙線電子+陽電子の到来方向を世界に先駆けて初めて求めることに成功し、等方的な到来方向と矛盾しないことを示した。100GeV以上の宇宙線電子+陽電子観測結果を説明するためには、WIMP暗黒物質の寄与がなくても統計的には十分説明可能であるが、例えば最も高エネルギーまで観測を行っているECCの電子+陽電子観測データを用いて、WIMP暗黒物質の対消滅により発生する電子・陽電子パラメータを求めると、エネルギーは890GeV、エネルギースペクトルは6.5×10^-2E^-2(m^-2 s^-1 sr^-1 GeV^-1)として解釈できる。WIMP質量に相当する電子・陽電子エネルギーは予測の範囲内であるが、フラックスは一桁以上大きく、将来計画による電子・陽電子観測が望まれる。将来計画での検出可能性の検討としては、特に宇宙ステーション搭載用宇宙線観測装置CALETに着目し、幾つかのWIMP暗黒物質パラメータにより計算を行った。その結果から、電子・陽電子、ガンマ線のハイブリッドな観測によりWIMP暗黒物質の間接観測が十分可能であることを示した。
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