2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540294
|
Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
室谷 心 Matsumoto University, 総合経営学部, 教授 (70239557)
|
Keywords | QGP / 相対論的粘性流体 / 輸送現象 / HBT効果 / 多重発生 / ハドロン / 分子動力学 / 緩和現象 |
Research Abstract |
因果律を満足する相対論的流体方程式として注目されている双曲型のイスラエル・スチュアート方程式には、通常のナビエ・ストークス方程式に含まれる輸送係数に加えて、5個の新たな輸送係数が含まれている。本研究では、局所平衡分布関数に基づく定式化に従って、新たな5個の輸送係数に対する久保公式を導出した。さらに、この公式を使ってハドロンガスの系について輸送係数の温度・重粒子数密度依存性を微視的に計算した。これらの結果については、昨年度日本物理学会において報告を行い、現在論文を作成中である。 QGP状態の緩和現象を格子ゲージ理論のシミュレーションによって解析するために、実時間の入った有限温度系のシミュレーション技法の確立を目指している。具体的には、セメノフ・梅沢流に時間を複素経路に拡張した系に対して、確率過程量子化法を適用して量子化するものである。現在までにスカラー場についての予備的な計算を終え、現状を日本物理学会において報告した。 RHICおよびCERN-SPSでの重イオン衝突の結果について、散乱領域のサイズの評価に使われるHBT効果に対する流体的の膨張と混濁性の影響を系統的に調べ、HBT効果から得られる見かけの系の広がりや、さらにそれを使って評価されるエネルギー密度などの密度量に対す影響を議論した。 s-クォークのQCD相互作用への寄与を明らかにするために、ストレンジネをもったスカラー九重項粒子κの性質や、K-π散乱の散乱長を格子ゲージ理論の数値シミュレーションで調べた。その結果、単純なスカラー粒子描像では1GeVを切るような軽いκは得難いことや、I=3/2チャンネルとI=1/2チャンネルではK-π散乱の散乱長の符号が違う可能性を示唆するような結果が得られた。
|
Research Products
(7 results)