2008 Fiscal Year Self-evaluation Report
QCD matter as a strongly interacting non-equilibrium system
Project/Area Number |
18540294
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Particle/Nuclear/Cosmic ray/Astro physics
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
MUROYA Shin Matsumoto University, 総合経営学部, 教授 (70239557)
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Project Period (FY) |
2006 – 2009
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Keywords | QGP / 相対論的粘性流体 / 緩和現象 / 多重発生 / 分子動力学 / 散乱理論 / ストレンジネス / 確率過程量子化 |
Research Abstract |
RHIC現象論としての完全流体モデルの成功によって, QGP状態は粘性が非常に小さな強い相関を持つ系だという認識が一般的となった. これにより第0近似としての完全流体モデルは議論の出発点として確立したといえる. ここからさらに議論を進めて強い相互作用をするQCD物質の緩和現象の解明を目指すことが本研究のゴールである. 具体的には下記のような問題について検討を行っている (1) 現在の完全流体モデルで, HBT効果などの現象論的解析を進め, シンプルな流体モデルの限界を検討する. さらに, 流体モデルの次のステップとして非断熱的な過程を取り込むことが当然考えられる. 因果律を満足する相対論的流体方程式として提案された, 双曲型のイスラエル・スチュアート方程式には,通常のナビエ・ストークス方程式に含まれる輸送係数に加えて, 5個の新たな輸送係数が含まれている. 本研究では, 局所平衡分布関数に基づく定式化に従って, 新たな5個の輸送係数に対する久保公式を新たに導出し,係数の微視的な導出を行う. (2) QCD物質のハドロン状態に関しては, モンテカルロ型衝突事象生成コードURASiMAを用いて統計力学的な解析を行っている. しかしながら, QGP状態の緩和の問題は有効な方法がなく難しい. QGP状態の緩和現象を格子ゲージ理論のシミュレーションによって解析するために, 実時間の入った有限温度系のシミュレーション技法の確立を目指している. (3) QCD相転移において重要な役割を果たすと考えられているs-クォークのQCD相互作用への寄与を明らかにするために, ストレンジネをもったスカラー九重項粒子κの性質や, K-π散乱の散乱長を格子ゲージ理論の数値シミュレーションで調べる.
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