2007 Fiscal Year Annual Research Report
大質量星重力崩壊による天体現象の極限物質科学に基づいた系統的解明
Project/Area Number |
18540295
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Research Institution | Numazu College of Technology |
Principal Investigator |
住吉 光介 Numazu College of Technology, 教養科, 准教授 (30280720)
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Keywords | 超新星 / 中性子星 / ブラックホール / 状態方程式 / ニュートリノ / 輻射輸送 / 流体力学 / 核データ |
Research Abstract |
大質量星の進化の最期に起こる重力崩壊は、超新星爆発やガンマ線バースト等の源であり、その全容の解明は宇宙・原子核物理にまたがる重要な課題である。中でもブラックホールの形成過程を解明することが、根本的な問題として残されている。本研究では、大質量星重力崩壊によるブラックホール形成ダイナミクスを理解するため、ニュートリノ輻射流体計算により大質量星の重力崩壊数値シミュレーションを系統的に行ない、コアバウンス・原始中性子星誕生・ブラックホール形成の様子を明らかにする。 今年度の研究では、主にブラックホール形成時におけるニュートリノ放出シグナルの定量的な予測をもとに高温高密度状態方程式の性質を引き出すことを目的として、太陽質量の40倍程度の大質量星の重力崩壊からブラックホール形成に至るまでの一般相対論的ニュートリノ輻射流体数値シミュレーションを系統的に行なった。異なる質量・進化の大質量星モデルを採用してブラックホール形成過程が親星の性質の違いによらず共通であるかどうかを検証した。その結果、親星の違いは放出されるニュートリノの性質の大きな違いには繋がらず、状態方程式による違いをニュートリノシグナルから探ることが定量的に可能であることを示した。さらに、高温高密度における新たな自由度の粒子出現の影響を探るため、新たに構築されたストレンジバリオンを含むハイペロン核物質の状態方程式テーブルを用いて数値シミュレーションを行なった。その結果、ハイペロンはコアバウンスの時点では出現せず、ブラックホールへの崩壊直前に中心からずれた高温領域で出現し始めることが判った。ハイペロンを含まない場合と比較して、ニュートリノ放出の様相は極めて類似しており、放出時間のみが短くなることが判明した。これにより、ハイペロン物質の出現をニュートリノシグナルから検出することができる可能性を新たに提案した。
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Research Products
(11 results)