2006 Fiscal Year Annual Research Report
高性能結晶シンチレーターの残留放射能低減による低エネルギー稀崩壊現象の探索
Project/Area Number |
18540297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
杉本 章二郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20044753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正明 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 名誉教授 (40013388)
玉川 洋一 福井大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40236732)
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Keywords | 結晶成長 / 素粒子実験 / 宇宙線 / 結晶シンチレーター / GSO / 太陽ニュートリノ / 0νダブルベータ崩壊 |
Research Abstract |
1.高性能結晶シンチレーターの候補の一つとしてGSO (Gd2SiO5:Ce)をとりあげ、結晶内部に微量存在する放射線源の調査をGe半導体検出器によって行った。その結果、ウラン系列の214Biが0νダブルベータ崩壊の関心エネルギー領域に影響を与えるバックグラウンド源であることを確認した。今後、Ge検出器の検出能力を向上させるため、より厳密な検出器周りの遮蔽を行い、他のバックグラウンド源の有無についても精査する。 2.稀崩壊現象を検出するには、求める信号事象(結晶外部から飛来する太陽ニュートリノや結晶内部から発生する0νダブルベータ崩壊などの事象)に対して、バックグラウンドとなる放射線を識別・除去する必要がある。このために、試験体となる大型結晶の周りに配置する鉛・無酸素銅遮蔽の検討と予備実験を行った。ここで、10cm厚の鉛と5cm厚の無酸素銅を用いることで87%のバックグランドを除去できることを確認した。さらに、GSO結晶を包むようにベトーカウンター(プラスチックシンチレーター)を配置する準備を行っており、バックグラウンド除去効果を確認する予定である。 3.結晶中に微量含まれる214Biからの崩壊によるバックグラウンド事象を除去する方策として、214Biからの系列崩壊による2つの連続崩壊事象を利用し、測定電子回路による論理判定でのバックグラウンド除去の試みを実施中である。 4.結晶シンチレーター大型化の一環として、GSO大結晶にビーム照射した実験データーの解析を行い、大型結晶性能の評価を実施した。その結果、結晶の両端からの光電子増倍管読み出しを行うことで、信号強度の位置依存性は約6%以内で、これは発生位置を両端からの信号情報を用いて補正することにより更に低減できることが分かった。また、エネルギー分解能は位置によらず6%(σ)になり、結晶内部にできる亀裂の影響は無視できることを確認した。
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Research Products
(1 results)