2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 博 独立行政法人理化学研究所, 川合理論物理学研究室, 先任研究員 (90250977)
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Keywords | 格子ゲージ理論 / カイラルアノマリー / ワイルフェルミオン / マヨラナフェルミオン / 超対称性 / 格子重力 |
Research Abstract |
格子場の理論は、場の量子論の非摂動論的定式化である。本研究の目的は、(1)カイラルゲージ理論(2)超対称性理論(3)重力理論など、これまで格子場の理論の適用が困難である理論に対して、格子場の理論による定式化を拡張することにある。この問題意識に対し、18年度は以下の研究成果を得た。まず、(1)に関連した問題として、8k+1次元におけるマヨラナフェルミオンを含む格子ゲージ理論における困難が考えられる。これは、このフェルミオンから生じうる大局的ゲージアノマリーとの関連から示唆されるものであるが、そのゲージアノマリーの具体的な例は知られていなかった。我々は、格子理論での問題意識をもとに、このアノマリーの具体的な例を構成した。次に、(3)に関連する問題として、重力場中を伝播するフェルミオンを記述する格子上のディラック演算子で、いわゆるGinsparg-Wilson関係式を満たすものを構成した。この定式化では、カイラルアノマリーが格子上で位相的な性質を持つことが保証されており、格子ゲージ理論の対応する構成法との関連が興味深い。応用として、定式化での連続極限として、重力場中でのカイラルアノマリーの表式(いわゆるDirac genus)を得ることができた。また、重力場中のマヨラナフェルミオンの定式化、ワイルフェルミオンの定式化、ローレンツ群の高い表現の実現なども議論した。我々は現在(2)に関連して、2次元のいわゆるN=(2,2)超対称Yang-Mills理論の格子定式化に基づいた数値シミュレーションをおこなっているが、この2次元理論の持つ性質を数値シミュレーションに先立って知っておくことは、非常に有用である。この問題意識に基づいた研究から、非常に広い範囲の2次元の超繰り込み可能な理論において、保存カレントの2点関数を厳密に決定できることを見いだした。この理論的結果は、現在進行中の数値シミュレーションにおいても応用されている。
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