2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540305
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 博 The Institute of Physical and Chemical Research, 川合理論物理学研究室, 専任研究員 (90250977)
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Keywords | 格子ゲージ理論 / ゲージ対称性 / 超対称性 / アノマリー / 非摂動論 |
Research Abstract |
今年度は特に低次元の超対称性理論の格子定式化に関する以下の研究成果を得た。まず、2次元のN=(2,2)超対称U(k)QCDでゲージ群の基本表現に属する物質場だけを含むような理論に対する新しいタイプの格子定式化を構成した。この理論に対しては菊川・杉野により提案された格子定式化が既に存在するが、overlap型のディラック演算子を元にしているためその構成は極めて複雑である。我々の新しい構成法では、B modelのtopological twistのもとで物質フェルミオンのBRS変換が簡単な構造を取ることに注目し、単純な構造の格子定式化に成功した。今後、2次元のいわゆる線形ゲージ化シグマ模型の数値シミュレーションなどへの応用が期待できる。次に、2次元のN=(2,2)超対称Yang-Mills理論に対する杉野による格子定式化において、超対称性に付随したWard-高橋恒等式に関する研究を行った。格子定式化は一般に超対称性を壊すため、超対称性とそれに付随したWard-高橋恒等式は連続極限ではじめて回復すると期待される。実際我々は以前、数値シミュレーションによってこの格子定式化における超対称性Ward-高橋恒等式の回復の強い証左を得た。ここでの研究はこれに相補的なもので、まず超対称性Ward-高橋恒等式が回復するメカニズムを形式的摂動論に基づき議論した。また、我々が以前提案したこの格子定式化におけるハミルトニアン密度の定義がsupercurrentを含むカレント代数の立場からも正当化されることを示した。さらに、1ループレベルの摂動計算を実行し超対称性Ward-高橋恒等式の回復を見た。最後に、2次元と3次元のWess-Zumino模型に対する超対称性が明白な非摂動論的定式化を提案した。この定式化では局所性が明白ではないが、連続極限で局所性が回復することを摂動論の全次数で示した。
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[Journal Article]2010
Author(s)
鈴木博
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Journal Title
臨時別冊・数理科学『多彩な量子の世界 その広がりに映し出される発展と進化』(サイエンス社)
Pages: 104-111
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