2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540312
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 彰 The University of Tokyo, 物性研究所, 助教 (20260515)
|
Keywords | 2次元電子系 / ランダウ量子化 / 量子ホール効果 / 準周期 / フィボナッチ配列 / メゾスコピック系 / 半導体物性 / 低温物性 |
Research Abstract |
本年度は初年度に作成した1次元周期的、または準周期的ポテンシャル変調を加えた2次元電子系試料の、低温での磁気抵抗の精密な測定を行った。 高調波を含む周期的変調、あるいはフィボナッチ配列に従う準周期的変調を加えた試料では、整合性磁気抵抗振動のフーリエ解析から、実際に電子が感じる変調ポテンシャルの振幅や形状を定量的に導出できることを明らかにした。 ポテンシャル変調によりランダウ準位の縮退は解けて、各ランダウ準位は磁場に依存する巾を持つようになる。その結果シュブニコフ・ド・ハース振動の振幅および位相は変調を受けるようになるが、この変調が、電子伝導への2種の異なる寄与、すなわち拡散および衝突の寄与を考えることにより定量的に説明できることを明らかにした。また、シュブニコフ・ド・ハース振動の形状の詳細なフーリエ解析を行うことにより、少なくとも0.25T程度以下の低磁場における高次ランダウ準位では、各ランダウ準位の不純物散乱による拡がりは、巾が磁場の1/2乗に比例するガウス分布でよく記述できることを明らかにした。 さらに、ポテンシャル変調が整数および分数量子ホール効果に与える影響の研究を行った。奇数次整数量子ホール効果の活性化エネルギーは、変調によりランダウ準位巾が拡がった分だけ小さくなること、拡がりが消失する磁場(平坦バンド条件)では活性化エネルギーは変化を受けないことを見出した。また、奇数分子の分数量子ホール状態は抑制され、偶数分子のものはむしろ強化されることを発見した。これは、分数量子ホール効果を記述する粒子である複合フェルミ粒子に対する有効g因子が、変調により減少したと考えると説明できる。 高次のランダウ準位において生じると考えられている電荷密度波が、スライディングすることによって発生することを期待した高周波ノイズは、残念ながら本研究にて観測することができなかった。
|
Research Products
(4 results)