2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
萱沼 洋輔 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (80124569)
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Keywords | 量子ビット / 非断熱遷移 / Landau-Zener公式 / デコヒーレンス / 外場駆動 / ジョセフソン接合 / ドレストバンド / Floquet理論 |
Research Abstract |
(1)振動外場中の半導体ドレストバンドの理論 非共鳴の赤外強レーザー場中に置かれた半導体のバンド変調(ドレストバンド)の理論を完成した。振動外場による摂動を厳密に取り込み、Floquet理論とBloch理論を融合させてLCAO計算をすることでドレストバンド(Floquetの擬固有エネルギー)およびプローブ光に対する誘導透過、吸収スペクトルの計算ができる。数値計算の結果、GaAs薄膜結晶に対する実験データを、定量的にもよく再現することに成功した。 (2)circuit QEDにおけるLandau-Zener遷移 LC回路と結合したジョセブソン量子ビットにおけるLandau-Zener遷移の確率を求めた。形式的摂動展開法により遷移確率の厳密解を求めることに成功した。 (3)外部自由度(熱浴)と接触した量子ビットのLandau-Zener遷移の理論 フォノンやスピン系からなる外部自由度(量子熱浴)による摂動を受けっつ、外場により準位交差を行う量子ビット(2準位系)の非断熱遷移を調べた。解析手法は、非対角相互作用に関する無限次までの形式的摂動展開であり、これは本研究代表者が20年以上前に発見した手法である。密度行列の対角成分との結合があるモデル(longitudinal coupling)では、絶対零度で基底状態から出発した時、準位交差後の初期状態への生き残り確率は厳密にLandau-Zener公式で与えられ、外部自由度との相互作用の影響は受けないことを見出した。また、非対角項に結合があるモデル(transverse coupling)でも、その効果を取り込んだ生き残り確率の厳密解を得た。 (4)非断熱位相干渉を用いた量子ビット操作法の提案 さまざまな起源をもつ揺らぎ中での量子ビット操作では、揺らぎによるデコヒーレンスや誤差をいかに押さえ込むかが量子コンピュータ実現の鍵となる。われわれは、2回のLandau-Zener準位交差を1回の断熱的通過でつなぐことにより、揺らぎによる誤差を軽減する手法を考案した。これを用いたゲート操作の数値計算を行い、設計どおり遅い時定数をもつ揺らぎにたいしてrobustであることを確認した。
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