2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540327
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
富田 憲一 Yamagata University, 理学部, 准教授 (70290848)
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Keywords | 光物性 / 物性理論 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
絶縁相に少量の電子(または正孔)をドープしたときのキャリアの性質について研究を行った。電子間相互作用の基本的な効果を理解するため、1次元及び2次元ハバードモデルを使用した。Half-filledからずれた電子系については、数値計算が困難な為、キャリアの性質も極めて定性的な議論しか行われていない。本研究では、非直交スレーター行列式の重ね合わせでフェルミ粒子系の波動関数を構築する共鳴Hartree-Fock法を用いた。非直交なスレーター行列式は、互いに全電子励起の効果を取り込み合い、効率良く大規模量子揺らぎを取り込むことが可能になる。また、スレーター行列式としては、DODS(different orbitals for different spins)型を用いた。従来の摂動計算や第一原理計算で用いられる制限型のスレーター行列式では、モット絶縁体を記述するのが困難であるが、DODS型スレーター行列式ならば、スピン密度波状態やそこからの低エネルギー励起状態を容易に記述することが可能である。こうした物理的解釈が可能なスレーター行列式を重ね合わせることで多体波動関数を構築するため、単に電子相関効果を効率的に記述するだけでなく、量子揺らぎに関する直接的な情報を得ることができる。この手法を用いて、1次元系では以下の結果を得た。 1. 電子間相互作用が強い時の量子揺らぎはスピノンとホロンに分離されている。 2. 相互作用が中間領域以下のときは、スピンと電荷が結合したポーラロンの揺らぎも重要になる。 3. ドーピングを進めると、強相関領域でもスピンと電荷の結合が進む。 また、本成果はPhysical Review Bに掲載された。2次元系の結果は現在投稿中である。
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Research Products
(2 results)