2006 Fiscal Year Annual Research Report
層状マンガン酸化物のフォノン物性の圧力効果とグリフィス相のスローダイナミクス
Project/Area Number |
18540333
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松川 倫明 岩手大学, 工学部, 助教授 (40221585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 則之 岩手大学, 工学研究科, 助教授 (80250637)
中西 良樹 岩手大学, 工学研究科, 助手 (70322964)
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Keywords | 超巨大磁気抵抗効果 / 磁気歪み / マンガン酸化物 / 圧力効果 / フォノン物性 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型Mn酸化物は超巨大磁気抵抗(CMR)効果、強磁性金属・常磁性絶縁体(FM-PI)転移、電荷整列相転移等の多彩な物性を示す事が知られている。FM-PI転移点付近でのCMR効果の起源については、二重交換相互作用模型や動的ヤーンテラー(JT)効果に付随したスモールポーラロンモデルなどが提案されている。しかし、バンド幅の狭い系の示す一次転移型のCMR効果やマンガン酸化物の相図の統一的理解のためには、相分離モデルがより有効であると考えられる。 磁場誘起型絶縁体・金属転移を示す層状マンガン酸化物単結晶の残留磁気抵抗、磁歪及び磁化の緩和現象の研究を行っている。今年度は磁歪の圧力効果の研究を中心に行った。磁場誘起の強磁性金属転移を起こす2T付近で、c軸方向に大きく収縮し、a軸方向にわずかに伸張する。この体積の減少は、局在しているJT型の格子ポーラロンが遍歴状態になったことによると考えられる。圧力を印加することにより、強磁性金属へ転移する臨界磁場が抑制される。これはe_g電子を介した二重交換相互作用が強まったことを示唆する。面内に磁場を印加した場合も同様な振る舞いを示す。磁場をゼロに戻しても、残留磁歪が残るので相分離状態であることがわかる。残留磁歪の緩和曲線は、単純な指数関数ではなく、残留磁気抵抗及び磁化の緩和と同様に拡張指数関数で良く記述されることがわかった。また、緩和時間の圧力効果は、2桁程度の増加をもたらす。関連した研究として、層状マンガン酸化物単結晶の磁歪のステップ現象を発見した。この現象は競合した2つの相に関するマルテンサイト変態モデルで理解されるが、軌道のフラストレーションも重要な因子であると考えられる。
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Research Products
(5 results)