2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウラン化合物高濃度スピングラス挙動の高圧制御に関する研究
Project/Area Number |
18540334
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 徳新 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (40281985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二森 茂樹 東北大学, 物質・材料研究機構・強磁場研究センター, 主幹エンジンニア (60354320)
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Keywords | ウラン化合物 / 高濃度スピングラス / f-d(f-p)混成 / 高圧制御 / 交流磁化率 / 磁気クラスター / 長周期磁気秩序 |
Research Abstract |
本研究では、U_2TSi_3とU_2TGa_3を主なターゲットに選択し、f-d(p)混成の高圧制御を通じて、ウラン化合物高濃度スピングラス(SG)挙動に関する研究を更に深化させる。平成18年度はU_2TSi_3に対し高圧下の基礎物性を測定し、興味深い実験結果を得た。平成19年度は、U_2TGa_3系物質を中心とする実験研究を行った。また、参考物質として典型的な希釈磁性合金SG物質であるAuFe(8%Fe)のスピン凍結状態の特徴、特に高圧下でSG振舞の変化を測定した。以下のオリジナル結果を得た。U_2AuGa_3はNMADスピングラス物質であり、外部磁場を印加すると、不可逆磁性が現れた温度T_<ir>は-H^<2/5>に比例し、平均場理論により計算した結果(T_<ir>∝-H^<2/3>)と異なった。圧力をかけると、この物質はU_2PdSi_3と全く逆の効果が表れた。SG転移温度T_fは外部圧力の増加と共に直線的に増加し、T_fの圧力変化率dT_f/dPは0.92K/GPaであった。T_fの周波数変化率δT_f(=ΔT_f/(T_fΔlog ω))は圧力の増加と共に直線的に減少し、δT_fの圧力変化率d(δT_f)/dPは-3.26×10^<-3>/GPaであった。以上の実験結果により、高圧中U_2AuGa_3のSGカップリングが強くなり、あるいはf-d(p)混成強度は原子間の距離の短縮により強くなると考えられる。AuFe(8%Fe)の場合は、常圧でSG転移はT_f=28.7Kで発生する。圧力をかけると、T_fは高温側に移動し、T_fの圧力変化率dT_f/dPは0.19K/PGaである。T_fの周波数変化率δT_f(=ΔT_f/(T_fΔlog ω))は圧力の増加と共に直線的に減少し、δT_fの圧力変化率d(δT_f)/dPは-9.4×10^<-4>/GPaであった。不可逆磁性は特徴温度Tirで現れ、圧力が増加するとTirは高温側に移動した。1GPaまでの圧力範囲でTirは約-H^<l/3>則に従い、外部磁場(H)の増加と共に減少した。また、高圧中Tirの変化率d(Tir)/d(H^<l/3>)は常圧の結果より小さくなった。希釈磁性合金SG物質と比べると、NMAD物質のSG振舞は外部圧力の変化に対して非常に敏感であることを明らかにした。
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