2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造における電子系量子凝縮相の微視的理論に基づく研究
Project/Area Number |
18540335
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
林 正彦 Akita University, 教育文化学部, 准教授 (60301040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老澤 丕道 東北大学, 教養教育院, 総長特命教授 (90005439)
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Keywords | 電荷密度波 / ギンツブルグ・ランダウ理論 / リング結晶 / 超伝導 / Little-Parks効果 / シャピロ・ステップ |
Research Abstract |
(1)近年実験的にも作成が可能となってきた微小なリング状の電荷密度波の相転移について、Ginzburg-Landau理論に基づく解析を行い、これまでに知られている実験結果との比較を行った。その結果、1ミクロン程度より大きな半径を持つリング状電荷密度波の場合には、リング化伴うストレスによる転移温度の低下は無視出来るほど小さいことが分かった。このことは、実験的にはリング状電荷密度波においても目立った転移温度の低下が起きていないことと対応している。この結果は論文として発表した。さらに、Bogoliubov-de Gennes理論による電荷密度波のダイナミクスを記述する方法についても検討を行い、特に位相欠陥の周辺での準粒子の非平衡状態を記述する数学的な枠組みについて一定の結果を得た。 (2)微小なリング状超伝導体の動的特性について、時間に依存するギンツブルグ・ランダウ方程式に基づく数値シミュレーションによって解析を行った。特に、定電流下での解析を可能にするために超伝導電極から一定の電流が流れ込んでいる状況を仮定し、それを数値的に表現出来るモデルを構築した。本年度は最も簡単なリング構造の場合に、磁場下での電気抵抗の振る舞い(Little-Parks効果)を解析し、特に外部ノイズとして交流電流を当てたときには、シャピロ・ステップ的な奇妙な振る舞いをすることを明らかにした。このことについては発表準備中である。また、この結果をBogoliubov-de Gennes理論を用いたミクロな理論に拡張する可能性についても検討を行った。
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