2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール不均一電子状態による銅酸化物超伝導体の異常物性
Project/Area Number |
18540336
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土浦 宏紀 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助授 (30374961)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 昭正 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30361124)
|
Keywords | 物性理論 / 不均一超伝導 / 銅酸化物超伝導体 |
Research Abstract |
本研究の目的は,銅酸化物超伝導体(以下では「銅酸化物」と記す)に内在するナノスケールの化学的不均一性が銅・酸素面の電子状態等に及ぼす影響を数値的に明らかにし,これまでに「異常」だと見なされてきた「銅酸化物」の諸物性のうち真に「異常」であるものと不均一性起源の「見かけの異常」であるものを弁別することである.今年度の研究実績は以下の通りである. 1.反強磁性を伴わない,位相反転型d波超伝導ストライプ状態の発見現実の銅酸化物で見られるフェルミ面を再現するよう拡張したt-J型モデルを用いて,空間的な長周期変調を伴う超伝導状態の可能性を調べたところ,「位相反転型d波超伝導ストライプ」と言える状態が安定な解として存在することを見出した.この新しい状態の主な特徴は,(1)従来のストライプと異なり反強磁性を伴わないこと,(2)ホール密度の増大している「ホールストライプ」上では超伝導秩序が消失すること,(3)ホールストライプの両側では超伝導秩序の位相が反転していること,(4)状態密度におけるd波超伝導のコヒーレンスピークが大幅に縮小すること,である.この状態は最近の高精度STM実験で見出されたナノストライプ状態と密接に関係している可能性がある. 2.位相反転型d波超伝導チェッカーボード状態の発見 上記の位相反転型ストライプよりややエネルギーの高い準安定状態として,「位相反転型d波超伝導チェッカーボード」と言える状態も見出した.これは位相反転型ストライプが縦横に重なったものであり,同じくナノストライプ状態との関連が期待できるものである.
|
Research Products
(3 results)