2008 Fiscal Year Annual Research Report
ケルビンダブルブリッジを用いたパルス磁場中微小抵抗変化測定法の開発とその応用
Project/Area Number |
18540339
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三田村 裕幸 The University of Tokyo, 物性研究所, 助教 (60282604)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 物性実験 / 低温物性 / 強磁場 |
Research Abstract |
金属化合物磁性体の磁気抵抗効果は、f電子系における高濃度近藤効果やd電子系におけるスピンの揺らぎの発現等に関する重要な知見が得られるが、一般に試料の抵抗率自体が小さいことと更にその変化も小さいことからパルス磁場領域で測ることは技術的に困難であり、国内外でもほとんどと言ってよいほど測定実績は無かった。この分野においてパルス強磁場中での低抵抗・微小抵抗変化測定を必要とするテーマは多く残されている そこで本課題ではこれらの測定を目的として汎用の低抵抗高分解能測定システムの開発を行なった。本課題で製作するものは非破壊パルス磁揚中で高分解能の低抵抗測定ができる汎用システムである。この目的のためにケルビンダブルブリッジ法という特殊な方法とデジタル位相検波法という新しい方法を取り入れた。これの実用化により定常磁場では届かない高い磁場領域で簡便に金属問化合物磁性体などの低抵抗試料の測定が精度良く測定出来るようになったので、今後この分野の進展に大きく寄与できるものと考えられる。 非破壊パルス磁揚発生装置は横浜国立大学工学部にある60kJコンデンサバンクとマグネットおよびヘリウム4冷凍機を用いた。現状では最高磁場30Tでパルス幅7.5msecの磁揚発生環境が利用可能である。 今年度は、DyB4という希土類金属問化合物の低温での磁気抵抗を測った。この物質の横磁気抵抗は極低温下で希土類金属間化合物としては異例の大きさの正の磁気抵抗を持つことが横浜国立大学の綿貫竜太博士によって発見されている。本研究では、この物質の縦磁気抵抗が77Kで負の磁気抵抗を示すにも関わらず、やはり4.2Kで大きな正の磁気抵抗を示すことを確認した。この機構については今後解明が進むことを期待している。
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