2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540341
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
押川 正毅 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (50262043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堺 和光 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (10397028)
宮下 精二 東京大学, 理学系研究科, 教授 (10143372)
太田 仁 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (70194173)
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Keywords | 電子スピン共鳴 / 磁場誘起臨界現象 / スピンギャップ系 / Haldaneギャップ / 量子臨界点 / 擬1次元スピン系 / 可積分系 / フォームファクター |
Research Abstract |
Haldane鎖に代表される1次元スピンギャップ系について、磁場誘起臨界現象の再検討を行った。臨界磁場以上では磁化は温度の関数として極小を持つことを、量子モンテカルロシミュレーションによって見出した。これが朝永・Luttinger流体と量子臨界領域の間のクロスオーバーを示す普遍的なものであることを解析的な理論によって裏付けた。また、強磁場領域では、磁化極小の存在はスピン波速度の磁場依存性に関連しており、スピン波速度が極大になる磁場で磁化極小が消失し、それ以上の磁場では磁化の温度依存性はむしろ極大を示す。 さらに、磁場誘起臨界点付近での帯磁率を、自由フェルミオン有効理論を活用して高精度で評価し、朝永・Luttinger流体領域でのT^<-3/2>に比例する挙動から量子臨界領域ではT^<-1>に比例する挙動にクロスオーバーすることを示した。この結果を用いて鎖間平均場理論を適用して、弱い鎖間相互作用があるときの磁場と温度による系の相図を調べた。今までの予想と異なり、量子臨界点の近傍では1次元量子臨界領域から、朝永・Luttinger流体領域を経由せず直接3次元秩序相に転移することがわかった。 また、S=1 Haldane鎖におけるESRシフトの温度変化を、金森・立木による式を量子モンテカルロシミュレーションによって高精度で評価することにより、系統的に調べた。同じ系の、非線形シグマ模型による解析も行った。 ESRスペクトルは、有限温度における動的相関関数によって与えられるが、この計算は理論的に困難な問題である。しかし、最近の数理的手法の進歩によって、有限温度における動的相関関数を厳密に計算する可能性がひらかれている。この方向へのアプローチとして、絶対零度および有限温度で、相互作用のあるスピンレスフェルミオン系において、フォームファクターによる相関関数の厳密な多重積分表示を導いた。
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