2007 Fiscal Year Annual Research Report
複合ペロブスカイト酸化物の強磁性・強誘電性の共存と電気磁気効果の機構の解明
Project/Area Number |
18540342
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
浅井 吉蔵 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 教授 (00109795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 浩二 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (20183139)
小林 義彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助教 (60293122)
佐藤 桂輔 富士通研究所, 基盤技術研究所, 研究員 (10418212)
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Keywords | マルチフェロイック / 強磁性強誘電体 / 電気磁気効果 / 複合ペロブスカイト / <55>^Mn NMR |
Research Abstract |
前年度明らかにした、複合ペロブスカイト酸化物(La_<1-x>Bi_x)Mn^<4+>_<0.5>Ni^<2+>_<0.5>O_3における誘電異常と電気磁気効果についての考察を行い、さらにこの系の^<55>MnNMRによる研究を行った。 この系の誘電率を試料の不均一性を考慮したMaxwe11-Wagnerモデルにより解析し、x≧0.5の試料で観測される160K近辺より高温での誘電率実部の増大とその周波数分散、160K近辺での誘電損失の極大を半定量的に説明することに成功した。更に、磁気的転移温度近傍において負の磁気抵抗を仮定することにより、同温度近傍に於いて9Tの磁場下で10%にもおよぶ誘電率実部の増加は、その温度変化や周波数分散をも含めて再現することができた。本研究の結果、本物質で観測される誘電率の磁場による変化は、物質自体の誘電率が変化するのではなく、大きな誘電率をもつ粒状強磁性物質問の粒界が負の磁気抵抗を持つために生じる現象であることが明らかになった。 一方、^<55>MnNMRによる研究では、^<55>Mnに隣接するNi^<2+>から酸素を通してsupertransferされる超微細磁場がBi濃度増大により顕著に減少することを明らかにした。この事実は、強磁性を発現させるMn^<4+>-O^<2->-Ni^<2+>の共有結合と強誘電性をもたらすBi^<3+>-O^2の共有結合が競合していることによると解釈できる。これは本系で強磁性と強誘電性が競合していることを示唆し、Bi濃度増大により強磁性転移温度が低下することも説明する。
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Research Products
(7 results)