2006 Fiscal Year Annual Research Report
磁化プラトー現象を示す新しい量子スピン磁性体の合成と磁性研究
Project/Area Number |
18540343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
菊池 彦光 福井大学, 工学研究科, 助教授 (50234191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 裕 福井大学, 遠赤外領域研究開発センター, 助教授 (40334809)
光藤 誠太郎 福井大学, 遠赤外領域研究開発センター, 教授 (60261517)
千葉 明朗 福井大学, 工学研究科, 教授 (90027144)
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Keywords | 磁化プラトー / 量子スピン系 / スピンフラストレーション / 強磁場 / 反強磁性体 / 一次元磁性体 / NMR / ダイヤモンド鎖 |
Research Abstract |
本研究の目的は磁化プラトー現象を示す事が期待される新しい量子スピン系物質を探索・合成し、実際に磁化プラトー現象を観測してその磁性を研究することである。磁化プラトーが期待されるスピンモデルとして本年は、スピンフラストレーション効果と量子効果との相乗作用によって磁化プラトーが生じると考えられるダイヤモンド鎖と名付けられたスピンモデルの現実物質探索およびその磁気的性質を行った。Cu^<2+>イオンがダイヤモンド鎖を形成している事を既報の結晶構造に基づいて推測したCu_3(MoO_4)_2(OH)_2およびCu_3(MoO_4)_2(OH)_2-(4,4'-bipyridine)を水熱合成法によって作成した。得られた粉末試料の磁化率と約60Tまでの強磁場磁化測定を行ったところ、Cu_3(MoO_4)_2(OH)_2-(4,4'bipyridine)の磁化率が一次元フェリ磁性体の磁化率に類似した温度変化を示すことを見いだし、当該化合物がダイヤモンド鎖モデルのフェリ相に対応することを示唆する結果を得た。更に強磁場磁化には1/3磁化プラトーの徴候が観測された。 また別のスピン系として、磁化プラトーが見いだされてはいるが、プラトー域が非常に狭いこともあって詳細な磁性があまり調べられていない二次元三角格子反強磁性体Cs_2CuBr_4の強磁場中NMR測定を行った。その結果、磁化プラトーの出現が報告されている臨界磁場においてNMRスペクトルに明確な異常が見られ、磁化プラトー生成の微視的機構に関する知見が得られた。
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Research Products
(5 results)