2006 Fiscal Year Annual Research Report
空間反転対称性の破れた超伝導における新奇物性と強相関効果
Project/Area Number |
18540347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 聡 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (10263063)
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Keywords | 超伝導 / 空間反転対称性 / 重い電子系 / 電子相関 / 異方的超伝導 / フェルミ液体 / NMR / 磁性 |
Research Abstract |
空間反転対称性の破れた重い電子系の超伝導体における強相関効果について研究を行った。このような系ではスピン1重項とスピン3重項の混合や、超伝導電流によって誘起されるバルク磁化の発生、ゼーマン磁場によって超伝導電流誘起などの現象が期待される。これらの効果は、電子間相互作用を無視した1電子近似で見積もると、実験による観測が困難なほど小さい。しかしながら、当研究では、これらの超伝導体が多く発見されている重い電子系では強い電子相関効果が重要であることに着目し、強相関効果を理論的に扱うためのフェルミ液体論の一般的な定式化を行い、空間反転対称性の破れを特徴づける種々の物理量に対する厳密な表式を導いて、電子相関効果が物性に与える影響について考察を行った。その結果、電子相関が強い重い電子系では、磁気電気効果やHelical vortex相などの新奇な物性が増強されることが明らかになった。また、重い電子系CePt_3Siで実現している電子対状態についても研究を進め、反強磁性秩序と共存したs+p波対状態を仮定することによって全ての実験事実が矛盾なく説明できることを明らかにした。また、重い電子系CePt_3SiのNMR実験と初期の理論予測との矛盾点を解消することにも成功した。
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