2006 Fiscal Year Annual Research Report
高圧力下での熱物性測定による重い電子系化合物の研究
Project/Area Number |
18540351
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
西郡 至誠 島根大学, 総合科学研究支援センター, 助教授 (50273917)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 圧力 / 熱特性 / 熱電能 |
Research Abstract |
1.開発を進めている緩和法圧力中比熱・熱伝導率測定法は、圧力媒体中の試料を直接加熱した時の温度変化を複数点で測定し、その結果を数値解析的なシミュレーション結果と比較することによって、比熱,熱伝導率を求める新しい手法である。本年度は解析プログラムの見直しを行い、試料サイズや形状の違いによって生じていた解析誤差の改善と解析時間の短縮を実現した。また、緩和法と相補的な役割を果たす交流法圧力中比熱測定に関して測定システムの立ち上げをを行い、微小試料を周期的に加熱したときの応答を観測する事に成功した。 2.圧力中での熱電能測定技術の確立を行った。熱電能測定には精度の高い温度および熱起電力の測定が必要だが、銅製の配線ピンを樹脂に埋め込んだ専用の電極プラグを作製し、そこに熱電対およびPtリード線を接続することで冷接点を安定化させた。その結果、高い再現性を得る事に成功した。また、原理上リード線の熱起電力による補正が必要なため、Tc〜90K:以下で熱電能がゼロとなる高温超伝導体YB_<a2>Cu_3O_<6+δ>を利用してリード線材(Pt)の熱電能の圧力依存性を測定した。 3.上記の熱電能測定をCeRhGe_3,CeIrGe_3へ適用した。近藤効果と結晶場効果の絡んだ大きな正のピークが0GPaではそれぞれ65K,55Kに観測された。ピーク温度は加圧とともに5.35K/GPaおよび5.05K/GPaの割合で高温側にシフトした。ピーク温度は近藤効果の強さを反映しているため、CeIrGe_3よりもCeRhGe_3の方が近藤効果が強い事、また、それが圧力によりさらに強められていく事が判った。熱電能は十数K以下の低温では負の値に転じCeRhGe_3では10K, CeIrGe_3では9Kに反強磁性転移転移点に対応する異常を観測した。この転移点も加圧とともに高温側にシフトした。
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