2007 Fiscal Year Annual Research Report
高圧力下での熱物性測定による重い電子系化合物の研究
Project/Area Number |
18540351
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
西郡 至誠 Shimane University, 総合科学研究支援センター, 准教授 (50273917)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 圧力 / 熱特性 / 熱電能 |
Research Abstract |
1. 開発を進めている緩和法圧力中比熱・熱伝導率測定法は、圧力媒体中の試料を直接加熱した時の温度変化を複数点で測定し、その結果を数値解析的なシミュレーション結果と比較することによって、比熱,熱伝導率を求める新しい手法である。今年度は絶対値の精度をより高くするために、試料の長さの異なる2通りの測定を行い、ヒーターや圧力媒体の影響を取り除く手法を考案した。本手法による信頼性を評価したところ、室温付近であれば2%程度の誤差での測定が可能なことが分かった。 2. 圧力誘起超伝導体であるCeRhSi_3の熱電能測定を6K〜室温の温度範囲で行った。近藤効果と結晶場効果の絡んだ大きな正のピークが0GPaでは80K付近に観測された。ピーク温度は加圧とともに約9K/GPaの割合で高温側にシフトした。これは近藤効果および結晶場効果が圧力により強められていく事を示している。CeRhSi_3は常圧でT_N=1.8Kの反強磁性体である。この反強磁性転移が加圧により消失し、近藤効果に特徴的な正のピークが出現する事を期待したが、約1.9GPaをかけた本測定では明確なピークは観測されなかった。 3. 熱電能が圧力中で精度良く測定出来るようになったことから、この測定を熱電材料であるBi_<0.5>Sb_<1.5>Te_3に応用し、熱電特性の圧力依存性を測定した。熱電能および電気抵抗率は、加圧と共に減少するが、電気抵抗率の減少率が高いため熱電材料の性能を表す出力因子は2GPaで約50%向上することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)