2006 Fiscal Year Annual Research Report
第2種超伝導磁束量子ダイナミクスの計算機シミュレーション研究
Project/Area Number |
18540360
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
胡 暁 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主任研究員 (90238428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野々村 禎彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主任研究員 (30280936)
田中 秋広 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主任研究員 (10354143)
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Keywords | 超伝導渦糸状態 / ダイナミクス / 脱ピン転移 / クリープ運動 / スケーリング / 計算機シミュレーション / グラス状態 / アレニウス則 |
Research Abstract |
弾性系が駆動力を受け、ランダムポテンシャルにピン止めされた静止状態から動的状態へ転移する現象は物性物理の重要なパラダイムの一つである。臨界駆動力近傍では、多数粒子系に良く見られる協力現象が顔を出す。また、低駆動力ではグラス的特徴が顕著になり、運動方式に強い非線形現象が現れる。最近、汎関数繰り込み群の発展によって、これらのダイナミクス現象の理論的理解はかなり進んだ。しかし、その予言の多くは実験検証を得ていない。一方、磁束運動に関するAnderson-Kim理論は、多くの実験観測を良く再現できるが、現象論的な側面が強い。 我々は欠陥を含む超伝導体に於ける磁束量子系の電流駆動ダイナミクスの計算機シミュレーションを行った。ゼロ温度では臨界駆動力が存在し、速度が連続的にゼロから立ち上がり、depin転移が観測される。有限温度では熱励起によって系がエネルギーバリアを超えて運動できるので、明確なdepin転移が存在しない。我々は有限温度において系の運動速度の温度と駆動力依存性にスケーリング則を見出した。この性質を利用して、ゼロ温度depin転移の臨界駆動力、臨界指数、及び温度依存性を記述する臨界指数を高い精度で評価できた。また、スケーリング曲線から、ランダムピン止め力が強い場合はAnderson-Kim理論を導出しました。一方で、ランダムネスが弱く、熱平衡状態がブラッグ・グラスになっている場合のダイナミクスはアレニウス則に従わないことも判明した。現在これらの結果を纏めた論文が投稿中である。
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