2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540362
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
樹神 克明 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10313115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
社本 真一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究主幹 (90235698)
瀧川 仁 東京大学, 物性研究所, 教授 (10179575)
田中 秀吉 独立行政法人通信総合研究機構, 関西先端研究センター, 主任研究員 (40284608)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / ナノチューブ、フラーレン / 物性実験 |
Research Abstract |
ペロブスカイト構造をもつBiMnO_3は約100K以下で強藷電性と強磁性が共存する、いわゆるマルチフェロイック物質としてこの数年間研究がなされてきた。最近になってこの系の結晶構造についての研究がやり直されており、電子線回折によってバルクの結晶構造は空間群C2であるが、さらにC面心対称性の破れた短距離秩序構造が存在することが示唆された。我々はこの低対称短距離秩序構造を詳細に調べる目的で、この系のパルス中性子回折実験を行い、そのデータのPDF解析を行った。 まず得られた対相関関数G(γ)に対し、10Aずつ位置をずらして20Aの範囲をフィッティングし、それを最大100Aまで行った。フィッティングには対称性の高い順にC2/c、C2、さらにC面心対称性の破れたP2_1およびP2を用いた。この結果C2/c、C2ではフィッティングの良さはあまり変わらないが、P2_1およびP2を用いた場合には100Aまで上の2つの空間群と比較して明らかに良いフィッティング結果が得られた。この結果は電子線回折で予想されたようにC面心対称性の破れたP2_1またはP2の対称性をもつドメインが存在すること、さらにそのドメインサイズは100Aより充分大きいことを示している。また100AまでのG(γ)をPDF解析することによって、この系では少なくとも2種類以上のC面心対称性の破れ方が異なるドメインが存在し、それらがランダムに集まっているためにバルクの構造は見かけ上C面心対称性をもつように見えることを明らかにした。さらにPDF解析からこれらナノスケールドメインの詳細な構造パラメータを決定し、この系の反転対称性の破れはMnイオンの存在が引き起こしていると考えられるものの、実際の強誘電性はBiイオンの寄与が大きいことも明らかにした。
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Research Products
(4 results)